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京都大学ブータン王国友好60周年記念事業:ブータン王女の招待について

2017年10月18日

ニュース

京都大学高等研究院 特別教授 松沢哲郎
(京都大学学士山岳会 会長、京都大学ブータン友好プログラム 代表世話役)

ブータン国王の妹君であるソナム・デチェン・ワンチュク王女を10月21日から1週間、日本にお招きいたします。ブータンと京都大学との友好の種がちょうど60年前にまかれたことを記念したものです。王女には25日、「国民総幸福」(GNH)に焦点を当てた記念シンポジウムに参加いただきます。山極壽一総長も出席されます。

ブータン王国と京都大学とのつながりは1957年秋 にさかのぼります。

現国王や王女の祖母であるケサン・ワンチュク王妃(87、第3代国王の王妃)がお忍びで京都を訪問されました。当時、日本とブータンとに国交はありませんでしたが、その来訪を知った京都大学学士山岳会の桑原武夫(フランス文学、京都大学学士山岳会 第3代会長)、芦田譲治(植物学)の両教授(当時)が王妃を歓待し、京都御所などを案内しました。それを契機として翌1958年、京大OBの植物学者、中尾佐助・大阪府立大助教授(当時)が王室の招きで日本人として初めてブータンを訪れて野外調査をおこない、「秘境ブータン」(1959年. 日本エッセイスト・クラブ賞受賞、岩波現代文庫所蔵)を出版しました。

その後も京都大学とブータンの友好は続き、1985年には京大山岳部隊(堀了平薬学部教授が隊長)が未踏峰マサコン峰(7200m)の初登頂 に成功しました。2010年には、国民総幸福の提唱者として知られる第4代国王との謁見を契機として、京都大学ブータン友好プログラムがスタートし、環境や、医療、生態学、教育、防災など幅広い分野での学術交流を続けています。

東日本大震災後の2011年秋、来日された現国王(第5代国王)夫妻が被災地を訪れ、心温まる言葉で人々を励ましたことは記憶に新しいところです。

ソナム王妹殿下は、スタンフォード大学で国際関係学の学位を、さらにハーバード大学法科大学院で修士号を取得されました。現在、ブータンの法曹界の重職を担っておられます。2004年に母にあたられる第4代王妃とともに来日されました。今回が2度目の来日になり、わが国の皇室の方々とも交流を深めます。

京都大学の招聘による今回の王妹殿下の来日が、日本とブータンとの末永い友好をより確実なものとすることを期待しています。

※訪問にあわせて16~30日、京都大学百周年時計台記念館「京大サロン」で写真展「ブータンの山々と文化」 が開かれます。

※本招聘事業は、平成29年度総長裁量経費「京大・ブータン連携60周年記念事業:ブータン王女によるGNHシンポジウムの開催」(参画部局:高等研究院、ヒマラヤ研究ユニット、東南アジア地域研究研究所、霊長類研究所、教育学研究科、医学研究科、地球環境学堂、こころの未来研究センター)によって実現しました。