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プロフィール:本庶 佑

本庶 佑

本庶 佑

副院長 / 特別教授

研究分野

分子免疫学

研究概要

 本庶博士は、クラススイッチ組換えや体細胞超変異に必須の活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)の発見で広く知られています。AIDはワクチン接種によって起こる抗原の記憶を抗体遺伝子に刻む酵素です。1978年にDNA欠失の発見から始まるクラススイッチ組換えの基本的な概念的枠組みを確立しました。博士は、IL-4、IL-5、SDF-1、およびIL-2Rα鎖を含む免疫調節に関与する一連の主要分子を同定しました。 また、Notchシグナル伝達標的としてのRBP-Jの同定によって発達生物学への大きな貢献が認められています。 さらに博士は、免疫応答をエフェクター段階で負に制御するレセプターであるPD-1(プログラム細胞死1)を発見し、PD-1阻害が癌治療に寄与することを実証しました。 抗PD-1癌免疫療法は、米国とEU、および日本で承認されています。 この治療法は癌治療の革命であり、感染症におけるペニシリンと同等にみなされています。

略歴

1966年 京都大学 医学部 卒業
1975年 京都大学 医学博士
1971-1973年 カーネギー研究所 発生学部門 客員研究員
1973-1974年 米国国立衛生研究所 国立小児保健発達研究所 客員研究員
1974-1979年 東京大学 医学部助手
1979-1984年 大阪大学 医学部教授
1984-2005年 京都大学 医学部教授
1996-2000年 京都大学 大学院医学研究科長・医学部長
2002-2004年 京都大学 大学院医学研究科長・医学部長
2005年- 京都大学 大学院医学研究科 特任教授
2006-2017年 京都大学 客員教授
2006-2012年 内閣府総合科学技術会議 議員
2012-2017年 静岡県公立大学法人 理事長
2015年- 公益財団法人先端医療振興財団 (現: 公益財団法人神戸医療産業都市推進機構) 理事長
2017年- 京都大学 高等研究院 特別教授
2018年- 京都大学 高等研究院 副院長
2020年- 京都大学 大学院医学研究科附属がん免疫総合研究センター(CCII) センター長

主要論文

  1. T. Honjo, T. Kataoka, Organization of immunoglobulin heavy chain genes and allelic deletion model. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75, 2140–2144 (1978).
  2. Y. Yaoita, T. Honjo, Deletion of immunoglobulin heavy chain genes from expressed allelic chromosome. Nature 286, 850–853 (1980).
  3. Y. Ishida, Y. Agata, K. Shibahara, T. Honjo, Induced expression of PD-1, a novel member of the immunoglobulin gene superfamily, upon programmed cell death. EMBO J. 11, 3887–3895 (1992).
  4. M. Muramatsu, K. Kinoshita, S. Fagarasan, S. Yamada, Y. Shinkai, T. Honjo, Class switch recombination and hypermutation require activation- induced cytidine deaminase (AID), a potential RNA editing enzyme. Cell 102, 553–563 (2000).
  5. Y. Iwai, M. Ishida, Y. Tanaka, T. Okazaki, T. Honjo, N. Minato, Involvement of PD-L1 on tumor cells in the escape from host immune system and tumor immunotherapy by PD-L1 blockade. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 99, 12293–12297 (2002).

主な受賞等

第25回野口英世記念医学賞(1981年)、昭和56年度朝日賞(1982年)、日本学士院賞恩賜賞・日本学士院賞(1996年)、文化功労者(2000年)、米国科学アカデミー外国人会員(2001年)、トムソン「最先端研究領域において活躍する日本の研究者」(2004年)、日本学士院会員(2005年)、ロベルト・コッホ賞(2012年)、文化勲章(2013年)、唐奨(2014年)、ウィリアム・コーリー賞(2014年)、日本癌学会 JCA-CHAAO 賞(2014年)、Smalley Award(2015年)、京都賞(2016年)、慶應医学賞(2016年)、Fudan-Zhongzhi Science Award in Biomedicine(2016年)、日本薬学会創薬科学賞(2016年)、Warren Alpert 財団賞(2017年)、ノーベル生理学・医学賞(2018年)