ハーディング開始時の上空写真と、時間経過に伴うオス(太線)とメス達の動きの軌跡。赤から青への色の変化は、ハーディング開始から終了までの時間変化を示す。
リングホーファー萌奈美 特定助教、山本真也 准教授の共著論文「Herding mechanisms to maintain the cohesion of a harem group: two interaction phases during herding」が国際学術誌「Journal of Ethology」に掲載されました。
【論文内容の紹介】
この研究ではウマのハレム群のオスがおこなう、ハーディング(牧羊犬が羊に行うようにオスがメスをまとめる行動)に着目しました。ドローンによる空撮映像を用いて個体の動作追跡をするという非侵襲的で新しい手法を用いて、ハーディング時の群れの動きを解析することに成功しました。群内全個体を追跡したところ、弧状の軌跡を描いて動いていくことが分かりました。さらにメスが動き始めるきっかけを分析した結果、ハーディングをするオスの接近を受けて1番目のメスが動き始め、それ以降はメス同士でまとまるように動く、という二段階のプロセスが存在することが明らかになりました。これまでも動物の群れの動きの解析は行われてきましたが、主に魚や鳥といった社会関係が流動的な動物の大規模群のみを対象としてきました。本結果はこれらの既存研究の結果とは異なっており、社会関係が恒常的なウマのハレム群ならではの行動調整の存在を示唆しました。
▷論文
Herding mechanisms to maintain the cohesion of a harem group: two interaction phases during herding