寄附研究部門 医学物理・医工計測グローバル拠点は、部門長である田中求特任教授(ハイデルベルク大学教授)のリーダーシップのもと、分野横断型の国際ウィンタースクール「Quantifying Dynamics of Life」を、3月11日から20日にかけて高等研究院本館において開催しました。
本スクールには、京都大学だけでなく、国内他大学(大阪大学、東京工業大学、東北大学、東京医科歯科大学)や海外の大学(ハイデルベルク大学・カールスルーエ工科大学)からも博士課程大学院生や博士研究員といった若手研究者が参加(36名、うち外国人19名)および聴講(11名、うち外国人6名)してくれました。参加者の専攻も化学や物理、医学や生物学に加え、数学や工学と非常に幅広く、International(国際的)かつ Interdisciplinary(学際的)なスクールとなりました。国内外で活躍する28名(うち外国人9名)の第一線の研究者に講義をお願いし、参加者に「生命動態を定量化する」という目標へ向かう様々なアプローチを肌で感じ、一流の研究者に直接質問・議論してもらうことを目的としました。
- Lecture (Prof. A. Parikh)
- Lecture (Prof. H. Suito)
- Discussion(Lecture)
講義とその後の議論に加えて、全ての参加者に自分の研究テーマについて口頭発表とポスター発表を行ってもらいました。専門が異なるオーディエンスに、自らの研究テーマの面白さやそこで得られた成果を、できるだけわかりやすく魅力的に伝えるにはどうするかを考える、通常の学会・研究会ではできないユニークな経験です。時には予定していた時間を大きくオーバーしてポスターの前で参加者同士が議論を続ける光景も見られました。
- Discussion (Poster Session)
- Discussion (Presentation by participants)
さらに、京都で開催されるという地の利を存分に生かして、参加者が「日本文化を京都で学ぶ」ことができるよう、基礎日本語の講義や書道体験、さらに「もののあはれ」についての特別講義を、京都大学国際高等教育院(ILAS)の協力を得てプログラムの中に組み込みました。また週末には「日本文化を京都で経験する」をテーマに、和菓子作りの体験や座禅入門、日本酒の酒蔵見学などのソーシャルプログラムも実施され、参加者に大変好評を得ました。
- Tour in and around the campus
- Basic Japanese
- Calligraphy Lesson
- Visiting sake brewery
- Making Japanese sweets
- Zen meditation
最終日には、国立天文台長・総合研究大学院大学学長を歴任されたのちJSPSボンオフィスの所長を務められた小平桂一教授に特別講義「A Half Century of My Astronomy」をお願いしました。ドイツ・キール大学で博士号を取られた時の研究テーマから、ハワイにすばる天文台を建設された時のエピソード、そして現在もドイツで若手研究者と共に取り組んでおられるテーマにいたるまで、国境や分野の壁を超えたスケールの大きな研究者としての歩みに触れたことは、参加した若手研究者に非常によい刺激となりました。
- Special Lecture (Prof. K. Kodaira)
- Farewell Party (Prof. N. Minato)
- Farewell Party
最終日の夕刻にはフェアウェルパーティーが開催され、京都大学プロボストである湊長博理事・副学長からスピーチをいただきました。参加者全員に田中教授から修了証書が手渡されたほか、優秀なプレゼンテーションや活発な議論を行った参加者には特別賞が授与されました。
- Farewell Party (Certificate)
- Farewell Party
スクール終了後、参加者だけでなく講師の先生方からも、非常に楽しく刺激的なスクールであったとのフィードバックをいただきました。このような国や分野の壁を超えたスクールを次回は2021年に開催したいと計画しています。
- Group Photo; March 11
- Group Photo; March 13
最後になりましたが、本スクールの開催において多大なご支援をいただいた公益財団法人 中谷医工計測技術振興財団に感謝いたしますとともに、ハイデルベルク大学・カールスルーエ工科大学、またドイツ科学イノベーションフォーラムのご支援に心からお礼申し上げます。
関連リンク
- 医学物理・医工計測グローバル拠点 https://cimphy.kuias.kyoto-u.ac.jp/