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プロフィール
松沢 哲郎

研究分野

霊長類学、比較認知科学

研究概要

人間の心の進化的起源を明らかにするために、チンパンジーを対象にした野外研究と実験研究をおこないました。実験研究では、彼らの数や言語の能力の萌芽を実証し、超短期記憶の存在を明らかにしました。主な研究対象となったチンパンジーにちなんで「アイ・プロジェクト」と呼ばれる研究です。コンピューター制御の実験システムを駆使して知覚・認知・記憶・概念などを、まったく同じ装置で同じ手続きによって人間とチンパンジーを比較する手法を確立しました。1977年11月に開始したアイ・プロジェクトは、1群3世代のチンパンジーの群れ全体を対象とした、知識と技術の世代間伝播の研究に発展しています。一方で、野外研究としては、野生チンパンジーに石器使用の文化のあることを発見し、それが世代を超えて伝播し、「教えない教育・見習う学習」と呼ぶ学習メカニズムがあることを見出しました。西アフリカ・ギニアの世界自然遺産であるボッソウ・ニンバの森の研究です。ボッソウの1群を対象にした通年の研究体制を確立し、1986年から継続する長期観察研究によって、野生チンパンジーの道具使用の文化や、その基盤となる親子やなかま関係を明らかにしました。こうした研究を通じて、人間の心の進化的起源を実証的に探究する「比較認知科学」と呼ばれる新しい学問分野を創出しました。人間と動物という二分法を超えて、人間とそれ以外の動物をひとつのつながりとして捉える新しい人間観を実証的に提示しました。

略歴

1974年京都大学 文学部哲学科 卒業
1976年京都大学 大学院文学研究科 修士課程修了
1976年京都大学 大学院文学研究科 博士課程退学
1976-1987年京都大学 霊長類研究所 助手
1987-1993年京都大学 霊長類研究所 助教授
1993-2016年京都大学 霊長類研究所 教授
2006-2012年京都大学 霊長類研究所 所長
2016年-京都大学 高等研究院 副院長・特別教授

主要論文

  • T. Matsuzawa, T. Humle, Y. Sugiyama, The Chimpanzees of Bossou and Nimba. Springer(2011).
  • T. Matsuzawa, M. Tomonaga, M. Tanaka, Cognitive Development in Chimpanzees. Springer (2006).
  • T. Matsuzawa, Primate Origins of Human Cognition and Behavior. Springer-Verlag (2001).
  • N. Kawai, T. Matsuzawa, Numerical memory span in a chimpanzee. Nature 403, 39–40 (2000).
  • T. Matsuzawa, Use of numbers by a chimpanzee. Nature 315, 57–59 (1985)

主な受賞等

ジェーン・グドール賞(2001年)、紫綬褒章(2004年)、文化功労者(2013年)、日本心理学会功労賞特別賞(2014年)